雄峯閣 ―書と装飾彫刻のみかた―

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烏(からす)

烏

○撮影場所:岐阜県高山市 高山祭(春)琴高台
○制作年代:天保9(1838)年
組み合わせは雲。

■概要
鳥綱スズメ目カラス科に属する鳥の総称。
普段どこでも見かけるが、その色、習性などから現代では 忌み嫌われる鳥である。
しかし、古代中国では烏は太陽の象徴とされ、日本にもその思想が 伝わっており、また、熊野の神々の使いであったりと、特別な鳥である。

■特徴
◎実際のカラスと姿は同じ、彩色が黒なら確実
・組み合わせ:雲 太陽  (太陽と月の表現の場合)  神武天皇(ヤタガラスの場合)

■来歴
中国では『淮南子』(前漢)のころから太陽に三本足(三は奇数で陽にあたる) の烏が住むとされ、 日本にもその考えが伝わっている。著名なものでは飛鳥時代の玉虫厨子に描かれ、 天皇の即位の時にも太陽に烏が描かれたものが飾られた。 江戸時代の『和漢三才図会』や『頭書増補訓蒙図彙大成』などでも「月に兎」と ともに「太陽に烏」が紹介されており、よく知られていたことが窺える。
また、熊野権現の使いともされ、熊野誓紙(牛王宝印 誓約書や起請文に 用いられた)には多くの烏が文字を形成(雑体書)している。
俗説に烏は死を呼ぶと言われる(由来は不詳)。

出典・参考

・『論衡』「説日第三十二」(『新釈漢文大系』68)
日中に三足の烏有り、月中に兎・蟾蜍有り。

・『古事記』中巻(倉野憲司 校注『古事記』岩波文庫 1963年)
(神武天皇の東征に高木大神が)「天つ神の御子をこれより奥つ方にな入り幸(い)で まさしめそ。荒ぶる神甚多(いとさは)なり。今、天より八咫烏を遣はさむ。故、その 八咫烏引道(みちび)きてむ。その立たむ後より幸行(い)でますべし。」

・『延喜式』巻二十一 治部省 祥瑞 上瑞(『国史大系』26)
「青烏。赤烏。三足烏 日の精なり。」
・同上 中瑞(同上)
「白烏 太陽の精なり。蒼烏 烏にして蒼色。翠烏 羽に光耀あるなり。」

・高藤晴俊『図説社寺建築の彫刻』

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