唐破風の屋根を持つ門のことを唐門(からもん)といいます。
ここでは同じ場所にあるふたつの唐門を紹介します。
場所は京都市にあります妙心寺塔頭(たっちゅう)玉鳳院です。
横の部分が唐破風になっており、平唐門といいます。
この妙心寺の唐門は現存する唐門のなかで最古のモノといわれています。
室町時代、応永16(1409)年に後小松天皇が当時の皇居の門を移築
したと伝えられ、重要文化財に指定されています。
唐門は鎌倉時代から存在したようなのですが、
いまのところはこれが最古のもの。後は絵巻物などで見るしかありません。
唐破風が正面についています。上に紹介したものに
比べてどうでしょうか。向唐門(むかいからもん)と呼んでいます。
この門の年代は明暦2(1656)年。京都府指定
文化財とのこと。
唐破風は空間が大きく開き、内側を装飾するにはもってこいのパーツです。
平唐門の場合は装飾しても目立たないでしょうが、向唐門になると、通り口に
装飾が施せるようになります。現にこの例でも桐に鳳凰が彫刻されています。
また、唐破風の付属品となる懸魚(げぎょ)にも彫刻されるパターンがあり、
懸魚の部分まで鳳凰などの彫刻がされることもあります。
唐門は日本の装飾を見る上で欠かせない要素であり、京都三唐門といわれる 西本願寺・豊国神社・大徳寺(いずれも国宝)のそれは絢爛豪華な装飾がみどころの ひとつでもあります。このような門を見かけたらば、装飾されていないか見てみると いいかもしれません。