ホーム>建築装飾探訪>若一王子神社三重塔
若一王子神社三重塔

○データ
・場所:長野県大町市若一王子神社
三重塔
・年代:宝永8(1711)年
・装飾箇所:蟇股の獣面人身の十二支
・長野県指定文化財(県宝)
若一王子神社は和歌山県熊野の熊野権現那智大社を勧請したことから
この名がついています。これは鎌倉時代のことで、この神社自体は
垂仁天皇(第11代天皇とされる)の頃からあったとされます。
神仏習合の色が非常に濃く、江戸時代には熊野修験の根拠地
のひとつでした。
この宝永8(1711)年建立の三重塔は、神仏習合の色濃く残っている
もののひとつです。今となっては違和感を覚える方もいるでしょうが、
江戸時代までは至極自然な姿でした。
この塔の1層部分の蟇股12面に彫られているのが十二支の彫刻なのですが、
十二支としては非常に珍しい、獣面人身の十二支です。

十二支は方向を表わしており、
馬が正面(南)。
そこから時計回りに羊・
猿・
鶏・
犬・
猪・
鼠・
牛・
虎・
兎・
龍・
蛇と一周します。
彫刻に彩色はあったようで、少し残っていますが、ほぼ剥落。
彫刻も龍のみ首がない状態です。
類似した姿は「十二類絵巻」に見ることができます。
装飾としてみると獣面人身の十二支は7世紀末のキトラ古墳の壁画 以来。なぜこの十二支の姿を用いたのかはわかりませんが、 貴重な遺構として重要な存在です。