雄峯閣 ―書と装飾彫刻のみかた―

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児島高徳(こじまたかのり)

児島高徳

○撮影場所:愛知県半田市 協和地区西組協和車
○制作年代:昭和5(1930)年
『太平記』では桜の木を削り、そこに句を書いたとなっているが、この彫刻では 板壁になっている。しかし、ここの山車の彫刻が楠正成などで飾られているので、 児島高徳で間違いないだろう。

■概要
生没年不詳。『太平記』のみにその名があり、実在が疑わしい。
ところが、南朝の忠臣として戦前までは非常に有名であり、この彫刻にも ある桜の木に「天 勾践(こうせん)を空しうする莫れ/時に范蠡(はんれい) 無きにしも非ず」 と書いた話は唱歌となったくらいである。
なお『太平記』諸本によっては桜の木が柳の木になっていたり、下記表題や文章の違いがあるが、 内容は同じである。

出典・参考

・『太平記』第四巻「和田備後三郎落書の事」(兵藤裕己校注『太平記』(一)岩波文庫)
微服潜行して、時分を伺ひけれども、しかるべき隙もなかりければ、主上の御座ありける御宿の庭前に、 大きなる桜の木のありけるを押し削つて、大文字に一句の詩をぞ書きたりける。
天 勾践(こうせん)を冗らにすること莫かれ 時に范蠡(はんれい) 無きに非ず
警固の武士ども、朝これを見つけ、何事をいかなる者が書きたるやらんとて、読みかねて持ちあつかひける間、 上聞に達してけり。主上は、則詩の心を御悟りありて、龍顔殊に御快げに打ち笑ませ給へども、武士ども、 あへてその来歴を知る者なかりければ、思ひ咎むることもなし。

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