雄峯閣 ―書と装飾彫刻のみかた―

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三車火宅(さんしゃかたく)

三車火宅

○撮影場所:東京都葛飾区 柴又帝釈天(題経寺)帝釈堂
○制作年代:大正末期〜昭和9(1934)年

■概説
釈尊が舎利弗に向かって説いた「三車火宅の喩え」である。
ある長者の家に火がつき、焼け落ちようとしているのに、中にいる三人の子は逃げようとしない。 出ておいでと叫んでも一向に出てこない。そこで長者は方便として牛・山羊・鹿が引く車をあげるから 出ておいでと叫ぶ。すると子どもたちが出てきたが、実際にそのような車がないとごねだす。
長者はそのとき、それらはないが、もっといい車があるといい、もっと贅を尽くした白い牛が引く車を子どもたちに分け与えたのである。
これは、まず方便を使い、それから真実を告げるというたとえをあらわす。長者の家は欲望、 それに火がつくのは欲望に欲望を重ねる、三人の子は「貪り・怒り・愚か」を象徴する。 そして三台の車は三乗の、大白牛車は一乗の、即ち一番優れた教えを表わす。

出典

・『法華経』譬喩品第三(岩波文庫『法華経』上)
この時、長者は すなわちこの念をなす 「諸子は、かくの如く わが愁悩を ます。 今、この舎宅には 一として楽しむべきものなし。 しかるに諸子等は 嬉戯 におぼれ わが教えを受けず 将に火に害せられんとす」と。すなわち思惟して 諸の 方便を設け 諸子等に告ぐ 「われに種種の めずらしき具たる 妙宝のよき車有り。 羊車・鹿車 大なる牛の車にして 今、門外に在り。 汝等よ、出で来れ。われ、 汝等のために この車を造作せり。 意のねごう所に随って もって遊戯すべし」と。 諸子は、かくの如き諸の車を説くを聞きて 即時に奔競し 馳走して出で 空地に到りて  諸の苦難を離れたり。

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