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書の読めない人へ
肉筆の書を出したとしましょう。
何か書いてありますから、まずは読もうとします。
ところが、漢字が崩してあったり、かなも今使っているものと違うものが出てきたり。
文字を読もうとすると、そのようになってしまい、「わからない」という言葉が出てくる。
「読めない」からわからない。だからいいや、となってしまう。
書は、それを文(あるいは詩、言葉)として読むことも必要ですが(書とは、言葉を具現化するもの
ですから)、それには膨大な知識が必要です。
では、何を見るか?たとえ読めないとしても、書にはいろいろな
楽しみ方があります。
1 かたちをみる
書を見たとき、まずはかたちを見るのがわかりやすいかと思います。
まずは文字そのもののかたち。たとえば「山」と言う文字1つ取ったとしても、
象形文字のようなもの、筆順が違うもの、画が点と化しているものなどたくさんあります。
それを見たならば今度は文字の外側を囲んでみましょう。正方形に入るもの、長方形になる(縦長・横長)
もの、丸く収まるもの、多角形になるもの…。
ちなみに印刷文字(これもそうですが)は大体が正方形に入るようになっています。
2 なぞってみる
「なぞる」、原始的な方法ですが、これをすることによって書のみかたは倍増します。
もちろん、展覧会の会場などで筆を用いたりするわけにはいきませんから、
指で、空をなぞることになります。
なぞることによって、わからないことがわかってきます。
案外、読めない文字が読めたりするようになるものです。
特に、行書や草書はなぞることが効果的です。
また、なぞることによって書のスピード、強弱、深さなど、書を楽しむのに
欠かせないものがわかってくるようになります。
3 速さをみる
筆(ペンでも何でもいいです)を持って書くときに、スピードは大きな影響を及ぼします。
極限までスピードを高めたものがあるならば、逆に極限までスピードを出さずに書かれたものもあるわけです。
スピードを出していけば文字と文字はつながりだし(連綿)、スピードを抑えていけば
ややもすれば紙を侵蝕していくかのような書が生まれだします。
これはなぞることによって追体験できます。
4 筆画の太さ、細さ 強さ、弱さ
やけに画の太いモノや、やけに細い画のモノ。筆画の太さ・細さは書のみどころです。
ところが、画が太いからといって強く見えるか、画が細いからといって弱く見えるか
と言いますと、それは当てはまりません。
書にも骨と肉があります。骨だけなら細いですが、強くみえることがあります(時折
痛々しい場合があるのですが)。肉だけですと、どれだけ太くてもぶよぶよしてますので
強さは感じられません(みかけは強そうですが)。
骨と肉がほどほどにあると、美しいたたずまいであることが多いです(あまりにも
ほどほど過ぎると、面白くないのですが)。
5 紙を見る
これは日本の書、特にかなの書で見られることですが、紙を見ると面白いです。
紙の装飾(料紙装飾といいます)は平安時代の栄華を物語っています。
波、雲、亀甲、金銀砂子、草木・人物画、挙げるときりがありませんが、時にはそれを
継ぎ貼りしたり、パッチワークのように使ったりと、紙だけでも見るところは多いです。
かなが読めない…という前に、紙の装飾を見てはいかがでしょう。